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実績一覧 実績一覧 Housing

南昭和町の家

暮らしとまちと風景をつなぐ場

徳島市の中心部に位置する自邸の計画です。自分の中で建築は人との協働によりうまれるものであり、自邸においても例外ではありませんでした。「眺望の良い家が良い。日常の中でも非日常が味わえる空間が良い。」という家族の希望により、外へ開く建築を目指すこととなっていきました。そして、どんな建物にするかより、どこに建てるかということがとても重要になりました。市街地で眺望の良い土地というのは中々ありません。しかし、徳島県は市内中心部でも山や川といった自然と身近な土地柄です。きっと出会えるはずと探す中で出会ったのが今回の敷地となります。南側は道路を挟んで内海のように広がりのある園瀬川、その先には街並みや山並みの景色が広がっており、徳島を象徴するような景観だと思いました。

2021年初頭に敷地が決まり、いざ設計に取り組む中で、コロナ渦の影響が建築業界でも大きくなっていきました。そして、ウッドショックという問題に直面しまた。当初木造で検討していましたが、品質の良い木材が手に入らない可能性も有り、それまで進めていた木造の計画を全て没にして鉄骨造に変更しました。ですが、このことによって今の案にたどり着くことが出来たともいえます。平面構成としては、1階は玄関と水廻りのみとして屋内空間をコンパクトにし、半分以上がピロティとなっています。敷地の周辺にもこうしたピロティを持つ鉄骨造の建物が多いのですが、そのほとんどは駐車スペースとなっています。ここでは、ピロティ空間をアウトドアリビングとし、庭に繋がった設えとしました。2階は南側一面に連窓を配置し、どの部屋からも風景が見えるようにしました。このことによって、1階は屋外(Outdoor)で空間としての外を楽しめ、2階は屋内(Indoor)で風景としての外を楽しむことができます。

ピロティと繋がった庭は塀をあえて低く抑えました。そのことにより、風景とつながった広がりのある場所となります。庭仕事をしたり、子供と遊んだりしていると道行く人と視線が合うことも少なくありませんが、挨拶をしたり少し会話をしたりと交流を楽しむ事ができます。また、街路樹の無い通りにおいて、庭の緑を楽しんでもらえればという思いもあります。この建築が、家族の暮らしを包む家であると共に、まちや風景とつながることでそれぞれがより豊かになる場となればと思います。

設計監理:郷建築計画 建築工事:ストウ住建 家具工事:富永ジョイナー